当研究室は、磁気センサの開発と、センサを応用した計測機器に関する研究を実施しています。卒業研究などで取り組んでいる研究についてご紹介します。
1.レール軸力センサの開発(2000年度?)
レールは気温の変化により伸縮します。夏の場合にはレールが伸びて、レールとレールの継ぎ目の間隔(遊間と言います)がなくなるとレール自体に大きな内部応力が発生します。最悪の場合にはレールが座屈して脱線事故につながる可能性があります。
本研究では、レール鋼の軸力(軸応力)を磁気的に測定しようとしています。鋼材に応力が加わった場合に透磁率の値が変化することを利用して、応力を測定するものです。本センサのレール検査への適応について検討しているところです。現在、残留磁気のセンサ出力への影響、応力印加試験を実施しています。
なお、本研究は平成13・14年度文部科学省科学研究費補助金(若手研究B)の助成を受けて実施しました。
レール鋼に150MPaの引張応力を加えた場合の実験
2.eラーニング教材の開発(2002年度?)
第2種電気工事士の資格を希望する学生向けの教材を開発しています。過去の試験問題を用いた模擬試験、動画を用いた単位作業の学習が行えるように工夫しています。将来的には学内外で利用できるシステムの構築を目指しています。当研究室では、電気工事士、ラジオ・音響技能検定などの電気系資格の取得支援事業に積極的に取り組んでおり、大勢の合格者を出しております。
最近では、現代的教育ニーズ取組支援プログラム(現代GP)の予算を活用して、「集積回路(IC)設計入門コース」を開発しました。
http://kosen-e.jp/
動画でレセプタクルの結線法を紹介
集積回路(IC)設計入門
3.レール遊間センサの開発(1998年度?)
レールには遊間という継目が設けられています。本研究は、レールへ向けて磁束を発生させて、レール上に発生する渦電流による磁束の変化を捉えて遊間値を実測するセンサの開発を目的にしています。遊間を検出するコイルが複数個配置されており、段差など異常遊間の測定の可能性を示すことができました。
本研究は新川センサテクノロジ(株)、(有)博士国際協同研究所、信州大学工学部水野研究室との協同研究課題です(主に信州大学で実施)。
4コイル形レール遊間センサの研究
過去実施した研究課題
1.抵抗式湿度センサ用駆動回路の開発(1996年度)
本研究は、抵抗式湿度センサと市販のタイマICとを組み合わせて、従来は測定が困難であった相対湿度10%RHまで測定可能な抵抗式湿度センサ駆動回路を開発しました。また、開発した駆動回路を用いて湿度および温度を計測するシステムを考案して、表示誤差が30%RH以上の場合±3%RH以内であることを示しました。
本研究は筆者が信州大学工学部伊藤研究室に在籍していた際に行った研究です。
2.レール摩耗センサの開発(1997年度?1998年度)
本研究は、レールの偏摩耗を軌道検測車を用いて非接触で測定することを目的にしています。カットコアにコイルを巻いたセンサからレールに向けて磁束を発生させ、レールに摩耗がある場合には磁束の量が減少することを利用して測定をしています。JIS 6kgレールを用いた場合に、レール摩耗量1?4.4mmの場合に誤差±1.5mm以内で測定できることを示しました。
本研究は(財)鉄道総合技術研究所、(株)日立電子エンジニアリング、信州大学工学部山田研究室(現在(有)博士国際協同研究所)との協同研究課題です。
レール摩耗量センサの外観
3.陸上競技者用ピッチ計測システムの開発(2000年度?2001年度)
本研究は、三次元加速度センサを用いて、陸上競技者のピッチ(=歩数÷時間)を計測するアルゴリズムの開発を目的としています。日々のトレーニングに生かせればと考えています。
本研究は本校体育科内山研究室との協同研究課題です。